己の欲せざるところを人に施すことなかれ、と言うけど

俺の場合、女の子を性的な意味で独占したい、という欲望があるのな。自分の好きな女の子がほかの男と楽しそうに話をしていることについてはなんとも思わないし、忙しくて話をする時間が取れなくてもかまわない。けど、ほかの男とセクロスすることについては強い嫌悪感がある。もうほんと、すごい嫌悪感。精神的苦痛といっていい。こんなのをひっきりなしに与えられたら、生きていけない。

そういう感覚は俺だけか、と思っていたら、いやいや、結構多くの男が同じような感覚を持っているじゃありませんか。喪板にもそんな苦痛を書き込んだものが多い。

ところで、性的嫉妬は配偶者防衛の現われだ、という説がある。なるほど、出産という重大な事実があるために、女性は自分の子供を容易に判別できる。しかし男性はそうはいかない。生まれた子供が本当に自分の子供かどうかをはっきりさせるために配偶者が他の男と関係を持つことを防がなければならない。これが配偶者防衛だ。

逆に女性の場合は、子供ができた後に育児を放棄されては困る。養育費は継続して長期間必要だし、そうなると心変わりが最も困るわけだ。逆に言えば男性が他の女性と性交渉を持つことそれ自体には特にこだわりがない。男女で嫉妬の質が違うというのも納得できる。

ここで問題になるのは、男女どちらも、自分の感覚を基準に相手の気持ちを想像することだ。まぁ、子供の頃から俺たちはみんな「自分がされたら嫌なことを他人にやっちゃダメ!」って言われ続けているし、相手の気持ちを推し量るために自分の感覚を基にするのが一番楽だ。でも、それは相手と自分が同じ感覚、言い換えれば、同じ価値観、同じ倫理観を持っていることが前提になる。性のからむ場面において、性差は無視できない重大な違いを生むわけだ。

俺の理想を言えば、男女共に、みんなにここまでのことは理解しておいて欲しい。自分が当たり前だと思って相手に要求していることが実はワガママなことこの上ないということを理解して欲しい。その上で、なお相手に要求することももちろんあるだろうし、それが断られることもあるだろう。もし相手がワガママを許してくれるのなら、そんな相手には感謝をすべきだ。そして、恋人同士の間でこういった利害関係の対立が明らかになったときにこそ、信頼関係の意味が分かるはずだ。と、思うぞ。