分析ではなく感想

電波男は興味深い本だ。しかしいったい、本田がこの本を書いた理由は、いや動機はなんなのだろうか。

電波男は怒りとやさしさがある。本田は自分のため、とうそぶくが、そんなわけはない。ほんとうに自分だけのためなら愛など語る必要はないし、その資格もない。

不器用なオタクたち。そいつらのために本田は電波男を書いた。その情熱。オタクたちを追い詰めようとする社会に対する、その怒り。自分以外の誰かのために、なんのメリットもないのに、情熱を燃やし、憤る。それって、あの感情に似ていないだろうか。

誰からも愛されたことがない男が、愛を語り、そして愛を与えている。その事実に、俺はちょっと泣いた。