「ほんだシステム」の可能性


俺自身は実のところ、「ほんだシステム」は提案レベルとしては面白いと思っているが、実現は経済的にむずかしいと考えている。

ほんだシステムの要は「オタク市場」の生産性だ。正確に言えば、オタク市場の生産性向上率だ。他の市場よりオタク市場のほうが生産性向上率が高ければ、自給自足をはじめたときに他の市場との貿易において黒字になる。自立したまま市場を大きくできる。一方、オタク市場の生産性が低ければ当然赤字が続き、解体しなければいけないことになる。アメリカでは60年代に大量の自給自足のコミューンが発生したが、ほとんどのものは数年で破綻してしまった(宗教を基盤に置いたものはもう少し長く続いたが、それも結局は破綻した)。

経済は取引で成り立っていて、流通量のない公正な取引よりも大量の不公正な取引のほうがより高い成長をもたらす場合がある。痛みを伴っても恋愛資本主義に取り込まれたほうが得策となる可能性も大きいのだ。

唯一、オタク市場が活路を見出せるのはそのゆるい著作権の捉え方だ。かしこで主張されているように、現状の著作権法は産業規制となっており、その成長を妨げている。オタクが著作権をいわばゆるい形で運用することにより、その規制から逃れられる可能性がある。この場合は本来の成長率を得ることができるので他の市場に対して十分な競争力を持つことができるようになるかも知れない。

いずれにせよ、オタク市場が大きくなることは間違いない。恋愛資本主義と距離を置けるかどうかは別としても。