ねこみみ

俺はねこみみを愛する。それはその愛らしさのためじゃなくて、その肉食獣としての残忍さという二重性のために、だ。ねこみみは小型の肉食獣としての美しさがいっぱい、詰まっている。音を立てず歩行するときの、その筋肉の動きのしなやかさ。笑顔の裏に隠された牙。そして、肉食獣が獲物を補足するときに見せる、あの鋭い眼光。

俺の目の前のねこみみは、それを時折垣間見せる。そんな時、俺はねこみみを押さえつけ、ひどいことをしたい欲望に駆られる。たぶんこの衝動が、俺の実存の問題なんだろう。この欲望を押さえつけながら、俺はずっと生きていくんだろうな。