試作品少女

試作品少女 空想東京百景 (二見ブルーベリー)

試作品少女 空想東京百景 (二見ブルーベリー)

著者はゆずはらとしゆき。あー俺ダメだこういうの。ええっと、俺が今まで読んだものの中で一番近いものを挙げれば「トリニティ・ブラッド」っていうの? あれ。あれに似てる。あれが好きな人にはたまらないかも。

この作品の世界設定は昭和30年代ということになっていて、その時代の風俗をそこかしこに入れることで雰囲気を醸し出そうとしている。が、それが煩わしいんだな。で、そういうのを抜きにして、主人公のやっていることを眺めると…おいおい、どこがハードボイルドだよこりゃあ、と言いたくなるわけだ。そこにあるはずの、後悔や自責の念、孤独、諦観がもたらす優しさ。そんなものはどこにもなくて、あるのはただのファンタジー、きれいな幻想なんだな。そこがどうしようもなく物足りない。

ハードボイルドということならカウボーイ・ビバップを10回くらい繰り返し見ていただきたいわけですよ、俺としては。