サークルクラッシャー
まず簡単にこの呼称が成立した背景を説明しておきたい。世間一般で次のような現象がしばしば確認されている:
- 男性のみによって構成されている、たいていオタクっぽいサークルがある。サークルはうまく運営されている。
- 少数の女性がそこに入ってくる。
- 恋愛関係での争奪戦が始まる。
- サークルが崩壊する。
- 最初からのサークル参加者である男性は(争奪戦に参加したかどうかにかかわらず)サークル崩壊による被害を受ける。
サークルクラッシャーという言葉は、2, の「少数の女性」を呼ぶための呼称だ。5. のような被害を避けるために作られた概念だ。
ところが、はてなでの現在のサークルクラッシャーの定義はこうだ。
男性の割合の多い文化系サークルにおいて、少数の女性を独占しようと競ったり牽制しあったりした挙げ句に、結果的にサークルを崩壊させた男性たちが、その原因を女性の存在に責任転嫁するときに、女性個人に対して使う呼称、およびそれにまつわる現象のこと。
こりゃひどい。「結果的にサークルを崩壊させた男性たちが」「女性の存在に責任転嫁」…えーと、まずサークルクラッシャーという呼称の意味そのものには「責任」という概念も何もない。サークル崩壊の直接の引き金を引いたのが少数の女性参加者というのは往々にしてあるが、それと責任とは何の関係もない。そもそものサークルに問題があったのかもしれないし、その女性に問題があったのかもしれない。ただ、サークルクラッシャーという呼称にそこまでの意味はない。
さらに気になるのは、「その女性には責任はないこと」が前提にあるように見えるところだ。一方的に女性に責任を押しつけるのがおかしい、という問題意識は正しい。でもその解決のために男性に一方的に責任を押しつける、という結論になるのは…もうちょっとで罵声が出るところですよ。
つまり現状では、サークルクラッシャーという呼称の定義を通して、「サークル崩壊の原因は男性にある」「男性がサークルクラッシャーという呼称で女性に責任を押しつけている」「女性がサークル崩壊の原因になる/なったかもしれない、と反省することは必要ない」という、ごくごく個人的な立場を押しつけられているように見えるんだな。これが自明な立場でないことは考えりゃわかるだろう。
まぁ建設的な意見として、例えば次のような定義はどうよ:
男性の割合の多い文化系サークルに少数の女性が参加した後で、急にサークル内の人間関係が悪化しサークルが崩壊する現象がある。このときの女性を指す呼称。
あ、それから、考察の方にも関連した記述があるなぁ:
- サークルクラッシャーには大きく分けて「天然系」と「計算系」の二種類の系統が存在する。
- 「計算系」はバブル期にアッシー・メッシーの数を自慢していたイケイケギャルのような罪深さがあるが、「天然系」はそういう自覚が無いので本当に罪深いのは周りの男子メンバーだと言える。
これを用語定義の参考にしたんんだろうか。
- 無自覚なら罪深くないの?
- 周りの男も無自覚という可能性はないの?
ちょっと考えても反論を思い付くような考察を元に、サークルクラッシャーの意味を書き換えるのはまったく望ましくない。